実家の廊下に物が多いと危ない|介護前に通路を広げる方法

実家に帰ったとき、廊下の壁際に紙袋や箱が増えていると、少し気になることがあります。

以前はすっきりしていた通り道に新聞や日用品が置かれ、親がそれらを避けながら歩いている。そんな様子を見て、「このまま足腰が弱くなったら大丈夫だろうか」と不安になる方もいるでしょう。

廊下は、玄関、居間、寝室、トイレなどをつなぐ生活動線です。家の中を移動するたびに使うため、床に物が増えると、毎日の歩きにくさにつながります。

介護準備として実家を片づけるときも、最初から家全体を整える必要はありません。まずは、親が毎日歩く廊下に、無理なく通れる幅があるかを確認するところから始めます。

この記事では、実家の廊下に物が多いときに確認したいポイントと、通路を無理なく広げる片づけ方を紹介します。親の物をすぐに捨てず、嫌がられにくく進める方法も一緒に見ていきましょう。

この記事でわかること
  • 廊下に物が多いと介護が大変になる理由
  • 歩きにくさと転倒の関係
  • 床置きの物を減らして通路を広げる方法
  • 一時置き場を増やさない工夫
  • 親に嫌がられにくい声かけと進め方
目次

廊下に物が多いと介護が大変になる

廊下に物が多いと、親自身が歩きにくくなるだけではありません。将来、家族が付き添って歩いたり、介護サービスの支援者が家へ入ったりするときにも、動ける場所が限られることがあります。

ただし、物が多いからといって、すぐに大がかりな片づけを始める必要はありません。最初に確認したいのは、親が普段どのように廊下を歩いているかです。

荷物を避けるために体を横へ向けていないか、壁や家具へ手を添えていないか、夜間でも無理なく通れているかを見てみましょう。

物を避ける動きが転倒につながる

廊下は、一日に何度も通る場所です。寝室からトイレへ行くとき、居間から台所へ移動するとき、玄関から部屋へ入るときにも使います。

床に紙袋や箱があると、親はそれをまたいだり、横へ避けたりしながら歩くことになります。

元気なうちは問題なく避けられていても、体調や足腰の変化によって、以前と同じように足が上がらなくなることがあります。

特に夜間は、照明が暗かったり、目が覚めた直後で体が十分に動かなかったりするため、昼間には気にならない小さな物も見えにくくなります。

廊下で確認したいのは、次のような物です。

  • 壁際に置かれた紙袋や買い物袋
  • 飲料や日用品が入った段ボール
  • 古新聞や雑誌の束
  • 床を横切っている延長コード
  • 脱いだままの衣類やスリッパ
  • 端がめくれた細長いマット
  • 立てかけた掃除機や杖

これらがあるから必ず転倒するわけではありません。ただ、親が日常的に避けたりまたいだりしているなら、通路を広げる余地があります。

実家へ行ったときは、親と同じくらいの速さで廊下を歩いてみてください。自分だけで歩いたときには気づかなかった狭さ、段差、足元の暗さが見えることがあります。

介助する人が横に立てなくなる

介護が始まると、廊下を親一人で歩くだけではなくなることがあります。

家族が親の横に立つ、腕や腰を支える、歩行器を使う、荷物を持って付き添うといった場面では、これまでより広い動線が必要になります。

廊下の両側に家具や荷物があると、親の横へ立てません。前や後ろから支えようとしても、介助する人が体の向きを変えにくくなることがあります。

また、介護サービスを利用するようになると、支援者が室内へ入る場合もあります。掃除、入浴、着替えなどの支援では、道具や衣類を持って移動することも考えられます。

将来、車いすや歩行器が必要になるとは限りません。それでも、介護前に通り道を整えておくことは、親の今の暮らしを楽にすることにもつながります。

特に確認したいのは、次の動線です。

  • 玄関から居間まで
  • 居間から台所まで
  • 寝室からトイレまで
  • 寝室から浴室まで
  • 階段の上り口と下り口

すべての通路を一度に広げる必要はありません。まずは、親が毎日最も多く通る場所か、夜間に使う場所から確認しましょう。

廊下は見た目より動きで確認する

廊下に物があっても、十分に歩ける場合はあります。物の量だけでなく、親が足を止める、体を横へ向ける、荷物をまたぐといった動きをしていないかを基準に考えましょう。

親の歩き方やふらつきが気になる場合は、片づけだけで解決しようとせず、必要に応じて主治医や地域包括支援センターなどへ相談する方法もあります。

廊下を広げる片づけ方

廊下を広げるときは、たくさん捨てることより、床に何も置かれていない場所を少しずつ増やすことを意識します。

最初から収納を作り直したり、大型家具を動かしたりする必要はありません。まずは、毎日通る場所にある物を一つずつ確認し、床から移すことから始めます。

床置きの物を一つずつ移す

廊下を狭くしている物の多くは、「後で片づけるつもり」で一時的に置かれたものです。

届いた宅配便、まとめた新聞、買い置きの日用品、別の部屋へ運ぶ予定の衣類などが、そのまま定位置になっていることがあります。

床置きの物を確認するときは、次のように分けると整理しやすくなります。

  • 今日または近いうちに使う物
  • 別の部屋へ移す物
  • 収納場所を決める物
  • 親へ処分を確認する物
  • 判断を保留する物

最初から「残すか捨てるか」を決める必要はありません。まずは、廊下から安全な場所へ移せる物を見つけます。

日用品のストックは、使う部屋に近い収納へ移します。古新聞は、回収日まで置く場所を廊下以外に決めます。宅配便の箱や買い物袋は、中身を出した後に、箱や袋をどうするかを親へ確認します。

重い荷物を親が運べず、そのままになっている場合は、中身を小分けにして一緒に移動します。

真美

廊下からなくなっても、別の部屋の床に置いたら、また同じことになりそうだね。

信親

そうだね。大事なのは、とりあえず隠すことじゃなくて、安全に置ける場所まで決めることなんだと思う。

ただし、廊下の物を別の部屋へ押し込むだけでは、今度はその部屋が使いにくくなります。移動先でも親が取り出せるか、別の動線をふさがないかを確認することが大切です。

必要な物は床以外へ置く

廊下には、掃除機、ティッシュ、買い物用の袋、杖、上着など、親がよく使う物が置かれていることがあります。

これらをすべて遠くへ移すと、親が使いにくくなるかもしれません。廊下から物をなくすことだけを目標にせず、必要な物を安全に置ける場所を考えます。

掃除機を廊下へ置いているなら、立てかけた状態で倒れないかを確認します。収納へ入れると使わなくなりそうな場合は、壁際の安定した場所へ置くか、倒れにくい収納方法を考えます。

杖も、床へ寝かせたり、不安定な家具へ立てかけたりすると、必要なときに取りにくくなります。親が手を伸ばしやすく、倒れにくい場所を一緒に決めましょう。

廊下へ残す物は、次の基準で考えると整理しやすくなります。

  • 毎日または週に何度も使っているか
  • 廊下の近くに置く理由があるか
  • 床へ置かずに収納できるか
  • 倒れたり滑ったりしないか
  • 親が無理なく手を伸ばせるか

親が「ここにないと困る」と言う物には、置いている理由があります。すぐに移動させず、いつ、どのように使っているのかを聞いてみましょう。

理由がわかれば、廊下の近くへ置いたままでも安全な方法や、近くの棚、壁掛け収納などへ移す方法を考えられます。

一時置きは床ではなく場所と量を決める

廊下に物が増える理由の一つは、便利な一時置き場になっていることです。

外出時に持っていく物、後で2階へ運ぶ物、次のごみの日に出す物などが、廊下へ集まりやすくなります。

一時置きが必要な場合は、床へ直接置かず、目的を決めた箱やかごを使います。ただし、大きな箱を廊下へ置けば、それ自体が通路を狭くします。

棚の上、使っている部屋の入口付近、階段をふさがない場所など、生活動線から外れた位置を選びます。

一時置き場には、何でも入れないことも大切です。

  • 2階へ持っていく物
  • 次の外出時に持っていく物
  • 資源回収へ出す物

このように一つの箱に一つの用途を決めると、物がたまり続けるのを防ぎやすくなります。

箱やかごがいっぱいになったら中身を見る、週に一度だけ移動するなど、親が続けられる小さな決まりを作ってもよいでしょう。

決まりを細かくしすぎると負担になります。「廊下の床には置かない」「このかごからあふれたら見直す」という程度でも十分です。

収納を増やす前に確認する

廊下へ新しい棚や収納用品を置くと、かえって通路が狭くなることがあります。まずは今ある物の移動先を考え、収納を追加する場合も歩ける幅を優先しましょう。

親に嫌がられにくい進め方

子どもから見ると危ない廊下でも、親にはいつもの暮らしの一部です。

「こんなところに物を置いたら危ない」と言われると、自分の暮らし方を否定されたように感じることがあります。

親に嫌がられにくくするには、家全体の片づけを持ち出さず、気になる通路だけに範囲を絞ります。

捨てずに移動・分類・保留で進める

廊下の物を片づけるときは、処分を前提にしないほうが話を始めやすくなります。

「捨てよう」ではなく、「ここから移してもいい?」と聞いてみましょう。

  • 「この袋をまたがなくていいように、少し移そうか」
  • 「捨てなくていいから、いったん部屋へ運ぼうか」
  • 「よく使う物なら、取りやすい場所を一緒に考えよう」
  • 「これは迷うから、保留箱へ入れておこうか」
  • 「置き場所を変えたら、忘れないようにしておこう」

移動した後は、新しい置き場所を親と確認します。物を勝手に動かすと、親が探し物をする原因になることがあります。

特に、薬、眼鏡、鍵、財布、郵便物、杖などは、親の了承なく場所を変えないほうがよいでしょう。

判断を保留する物は、親と一緒に箱へ入れ、どこへ置いたかを共有します。すぐに処分できなくても、通路から移動できれば、最初の目的は達成しています。

夜間の通路など場所を小さく限定する

親に片づけを提案するときは、「廊下を全部片づけよう」と言うより、場所を小さく限定します。

たとえば、「寝室からトイレまで」「階段の前だけ」「玄関から居間まで」という区切り方です。

親が毎日使う場所であれば、整えた後の変化も実感しやすくなります。

声をかけるときは、散らかりではなく歩きやすさを目的にします。

  • 「夜に通るところだけ広くしない?」
  • 「僕も横を歩けるように、ここだけ空けてもいい?」
  • 「この箱を動かすと、トイレまで行きやすそうだね」
  • 「今日はこの紙袋一つだけ見ようか」

「介護になったら困る」「転んだら大変」と強く伝えると、親が老いを指摘されたように感じることがあります。

「歩きやすくしたい」「毎日の移動を楽にしたい」と、今の暮らしに合わせて伝えるほうが受け入れられやすいでしょう。

親が嫌がる日は、見るだけで終えても構いません。一度で納得してもらおうとせず、別の日に小さく話を続けます。

一方で、避難経路がふさがっている、階段付近に荷物が積まれているなど、安全面の心配が大きい場合は、家族だけで抱え込まないことも大切です。

地域包括支援センターや自治体の高齢者相談窓口では、住環境や親への関わり方について相談できる場合があります。

通路を広げた後に確認すること

廊下の物を移動した後は、中央が空いたかどうかだけでなく、親が実際に歩きやすくなったかを確認します。

子どもにはすっきりした廊下でも、親が必要な物を探したり、別の場所でつまずきそうになったりしては、暮らしやすくなったとはいえません。

親と一緒にもう一度歩く

片づけた後は、親と同じくらいの速さで、もう一度廊下を歩いてみましょう。

  • 物を避けずに歩けるか
  • 親が壁や家具へ手を伸ばしていないか
  • 夜間の照明が十分か
  • 移動した物を探していないか
  • 新しい置き場所が別の通路をふさいでいないか

移動した物を親が元の場所へ戻そうとする場合は、その場所に置いていた理由があるのかもしれません。

「どうしてここに置いていたの?」と責めずに聞き、安全と使いやすさの両方を満たす置き場所をもう一度考えます。

元へ戻されたことを失敗と考えず、親にとって使いやすい方法を探す途中だと受け止めることも大切です。

家具や手すりが必要かは専門職へ相談する

床の物を移動しても歩きにくそうな場合や、壁や家具につかまらなければ移動できない場合は、片づけ以外の支援が必要なこともあります。

手すり、歩行器、住宅改修などが適しているかは、親の体の状態と住宅の構造によって異なります。

家族だけで設備を決めたり取り付けたりせず、必要に応じて主治医、地域包括支援センター、ケアマネジャー、福祉用具の専門職などへ相談しましょう。

まとめ:廊下は歩ける幅を守る

実家の廊下に物が多いときは、家全体の片づけより先に、親が毎日歩ける幅を確保します。

紙袋、箱、新聞、コード、衣類などが床にあると、親はそれらを避けたり、またいだりしながら歩くことになります。介護が始まれば、付き添う家族や支援者が横に立つ場所も必要です。

まずは、玄関から居間、寝室からトイレなど、よく使う通路を一つ選びます。床置きの物は、使う物、移動する物、保留する物に分けましょう。

廊下の近くに必要な物を残す場合は、床へ直接置かず、倒れにくく、親が取りやすい場所を考えます。一時置き場を作るときも、通路をふさがない場所と量を決めることが大切です。

この記事のおさらい

廊下では物の量より、親が避けたりまたいだりせずに歩けるかを確認します。床置きの物はすぐに捨てず、安全な場所へ移し、必要な物は取りやすく倒れにくい位置へ置きましょう。

親へは、「散らかっているから片づけよう」ではなく、「夜に歩きやすくしよう」「この場所だけ広げよう」と伝えると、話を始めやすくなります。

廊下の紙袋を一つ移すだけでも、歩ける幅は少し広がります。大きく変えようとせず、親の暮らしに合う形で少しずつ整えていきましょう。

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